地球の未来を照らす、子どもたちの笑顔 / 豊田章一郎

21世紀最初の万博となる「愛・地球博」は、多数の国々と人々のご参加をいただき、 2200万人を超える来場者を迎えて、成功裡に終えることができました。
 この万博のテーマ「自然の叡智」を縦糸とすれば、「地球大交流」はこの展覧会を織りなす横糸でした。信じられないほどの科学技術の進歩、高速移動手段の発達情報・通信技術の進化が、人とモノ、情報の交流を地球的規模で活性化させた20世紀以後、私たちは新しい"地球社会"に住んでいます。しかし一方で、あまりに巨大化した人類の活動は、自然な地球の許容量を超え、さまざまな危機をももたらし始めています。今、私たちに必要なのは、自然の叡智に学びつつ、多彩な文化・文明同士豊かに交流し合って、地球上の全ての"いのち"の持続可能な共生を一致して追究することではないでしょうか。
 「愛・地球博」にあたり、水谷孝次氏によって発表されたのが、6大陸23か国を旅して撮影された、2万人を超える"地球人"たちの笑顔の万博=「Merry EXPO」でした。
その膨大な数の笑顔とメッセージの映像に包まれる時、人の笑顔とは、人間が自然から授かった至高の交流の術であり、いのちの力、そのものなのだと想わずにはいられません。とりわけ子どもたちの無垢で純真な笑顔は、国や言語の違いを超えて、地球の未来を明るく照らしてくれるようです。新しく美しい地球を築いていくため、この素晴らしい笑顔は、ぜひとも私たち共通の財産として大切に守り、育てていきたいものです。
 Merryプロジェクトは今後も永く、地球人への大切なメッセージを贈り続けることでしょう。私も笑顔の力を信じています。やがては64億人、全ての笑顔を記録するまでに継続・発展されることを願っております。

[とよだ・しょういちろう/2005年日本国際博覧会協会会長]