「MERRY」から生まれた「BUNPUKU TEN」
2011.04.08 0:00
名古屋でお世話になっているデザイナーの松井伸之さんから下記の展覧会のお知らせを
いただきましたのでご紹介させていただきます。
「Bunpuku ten」
会期:2011年4月15日(金)〜24日(日) 時間:12:00〜20:00
場所:スペースプリズムギャラリー(名古屋市東区泉1-14-23 ホワイトメイツビル1F)
TEL.(052)953-1839 FAX.(052)953-1839
→スペースプリズムギャラリーのウェブサイトへ
この展覧会は、タイトルを「THE HAPPY WORLD !!まついのぶゆきの世界店」として、
HAPPYな絵柄のデザインやグッズを展示販売する企画展としてスタートしました。
4月の開催に向け着々と準備を進める中、今回の惨劇が起きてしまいました。
この展覧会の目的は作品販売の他に、
「この苦しい時代だからこそ、一時でもHAPPYを共有したい」という考えがありましたが、
あまりもの想像を絶する事態に、この様なコンセプトがあったとしても今は展覧会を開催するのは
不謹慎と考え、中止を真剣に検討しました。
しかし、展覧会に穴をあけることも出来ず、一人の人間として、また一デザイナーとして何が出来るかを、悩み、考え、話し合った結果、この展覧会が明日へつ ながる一歩にならなければとの思いで、タイトルを「BUNPUKU TEN」(分福展)と改め開催することにしました。「分福」(ぶんぷく)とは福を共に感じ分かち合うことです。
会場では福の空間を感じて頂き、花のシールに「福のしるし(メッセージ)」を描き
壁に貼ってもらうことで福を共有します。作品は全て100円程度のお求めやすいグッズとなっており、売上げはすべて日本赤十字社に寄付されます。
また、そのグッズ達が日常の中で展覧会テーマでもある「福を共に感じ、共に分かち合う心」を
思い起こす役割になれば幸いと考えています。この様なかたちで「分福」を体感します。
短い期間の中でこのように方向転換し着地出来たのは、水谷さんと「MERRY」のお陰です。
私は現在40歳、名古屋でグラフィックデザイナーをしています。20代後半から人生やグラフィックデザインについて様々な疑問を持ち、答えが出ないまま時が過ぎて行きました。
しかし34歳の夏に水谷さんの講演を聴いたことで、「これからの人生そしてデザインはこれだ!」と、それまでのモヤモヤがすっ飛んでしまいました。生きる上での「本当に大切なことに」に
焦点が当たっている「MERRY」と、それをつくり出す水谷孝次という人に感動し嬉しくて、
講演後興奮したまま失礼を省みずお話しさせて頂いたことを昨日のように覚えています。
その後も有難いことにご縁をいただき、水谷さんのお手伝いをしたり、お話をさせて頂いたりして
おりましたが、その中でいつも強く感じたことは、「MERRY」はデザインとして最先端のかたちである事。そして、それはデザインに留まらず私たちの人生においても無くてはならないもの。
という事です。「本当に大切なことに」に焦点が当たっているMERRYは、今後も空気や水のように欠かせないものであると考えます。
事実、この震災後あらためて笑顔の傘が開くのを動画で見た時、もの凄く涙があふれてきました。
悲しみとか喜びとかそういった単純なものではなく、何か不思議な涙でした。
うまく説明できませんが、心の何かが揺さぶられ(−)が(+)に変化する感じです。
この震災で落ち込み、(−)状態にある私の心に笑顔の傘が飛び込むことで化学反応が起こり、
その瞬間何とも言いがたい(+)の気持ちになり、涙となって現れました。
「デザイナーのすべきことはこういう事!」あらためてそう感じさせてもらう事が、
この展覧会の原動力となりました。
こうして「BUNPUKU TEN」は生まれました。MERRYの子供の様な存在のBUNPUKU TEN。
MERRYの様な力はありませんが、ささやかでも皆さんのお役に立てる事を願います。
松井伸之