わたしが好きな故・中島らもさんのエッセイにこんな一節があります。
「人にはみんな、ひとりづつ、『その日の天使』がついていて、
どんなに絶望的な気分になっても、様々な姿をした天使が助けてくれる」
というものです。
かなり昔に読んだ本なので、少しうろ覚えなのですが、
らもさんが好きなロック歌詞の日本語訳だそうです。
らもさんによると、その日のらもさんは色々な事が重なって、
もう死んでしまいたくなる程落ち込んでいたそう。そんな中、
街を歩いていたら石焼き芋屋が通りかかりました。
石焼き芋屋のスピーカーからは「おいも、おいも、ふっかふっかおいも♪」
といったメロディーが流れ、その楽しそうな様子に思わず、
ぷっ、と吹き出してしまい、それまでの絶望感がふと、和らいだそう。
そう、らもさんにとっては「その日の天使」とはこの焼き芋屋さんだったのでした。
わたしが思うにアートとは、こんな「その日の天使」のひとりではないのでしょうか。
ひとが生きていく中で衣食住は必要不可欠で、
美術や音楽といったアートは無くても生きていける、そう思っている人は多いはず。
しかし、思い起こしてみてください。
仕事でいやな事があった後、ひとりになり、ipodのスイッチを入れる。
そこから流れるお気に入りの音楽にふさいでいた気持ちが少し楽になる、
または本屋でふと手にとった写真集の鮮やかな色に、なんだか明るい気持ちになる。
そんな経験が誰にでもあるはず。
しかも、そんな「天使」の姿は人によってそれぞれです。
クラシック音楽が「天使」の人もいれば、
ロックが「天使」の人も、現代アートが「天使」の人もいます。
そして「アート」と言うと大げさのようですが、
ちょっとしたCM音楽や広告、芸能の中にも「天使」がいると思っています。
そして、そんな「天使」達は日々の生活のそこここにちょこんと隠れていて、
知らずに私達を助けてくれているようです。
「MERRY」のたくさんの笑顔もそんな「天使」だとわたしは思っています。
※写真はわたしの「その日の天使」。
育児雑誌のお仕事で出会ったスタイリストさんの
お子さん「はっちゃん」です。かわいいです。。