素顔・子どもの笑顔あふれる世界に/公明新聞 2021年2月21日掲載
公明新聞 2021年2月21日掲載
「素顔 子どもの笑顔あふれる世界に SDGsの絵本を出版するアートディレクター 水谷孝次さん」
(公明新聞2021/02/21 3面より)
ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ展金賞など受賞多数。
2008年北京五輪の開会式で芸術顧問を務めた。69歳。
「知らない人にやさしくする」「海のゴミを拾う」「生命を大切にする」――。
国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の実現へ、誰もができる身近なアクションを分かりやすく伝える絵本を3月に出版する。「みんなに地球のことを学んでほしい。一人一人の行動で笑顔いっぱいの世界に」との願いを絵本に込めた。
幼少期、戦争で身体が不自由になった父親に対する世間の冷たさ、厳しさに接し、「こんな社会を変えたい」と痛切に感じた。
大人になり商業ポスターなど広告のグラフィックデザインを手掛けるようになると、相次いで大きな仕事を依頼されるようになり、次第に「有名になって大金を得ること」が幸福だと思うように。
しかし、ニューヨークやパリ、北京など世界を飛び回り、巨額のマネーに翻弄される中で、思い描いていた幸福を得ていないことに気付く。幼少期の経験を思い起こし、「社会問題を解決するために仕事をしよう」と決めた。
めざすべきデザインとはどういうものか。自問を続けてたどり着いたのが、子どもたちの笑顔を世界に発信していくことだった。「この笑顔にこそ未来の希望がある」――。
以来、世界33カ国で5万人以上を撮影。その笑顔がプリントされた傘を一斉に開くパフォーマンスを各地で展開し、反響を呼んだ。
今、コロナ禍をはじめ、貧困や環境悪化など世界の問題に強い危機感を持つ。
「未来の地球と子どもたちの笑顔を守るために、SDGsの絵本が役立てば」と語る。(杢)