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押井守(映画プロデューサー)

都市について深く考え始めたのは15年ほど前からです。当初は、埋立地に興味があり、埋立地は実に不思議な所だ、といった思いからスタートしました。この延長線上にパトレイバーがあるわけです。

現在の東京においては、僕がかつて想像していた世界の一部が現実化しつつあります。今、僕は都市から少し離れた場所で生活をしていますが、外側から、限りなく発展を繰り返す東京の姿を眺めると、絶えず変化し続けることが宿命になっている街の悲劇さを感じます。

東京が変わることによって、一番変わったのは、東京で生活する人ではないでしょうか。なぜなら、東京には「殺気」が溢れているからです。若者から大人まで、東京で生活する人は殺気を発しているように感じます。

こうした東京に対して僕の心の中では、懲罰を加えたい衝動と、生まれ育った街としての愛しさとの両方の想いが混在し、深い愛憎の気持ちになっています。

一体、変わり行く東京の中で、何を残し、何を守るべきなのでしょうか?
僕が、映画製作を通じて到達した答えは、何も残すべきでもなく、決して守ることのできない…。そうした街だ、ということでした。

しばらくは、その「殺気」の正体に付き合おう、と考えています。まるでパトレイバー2の最後の台詞のように、「もうしばらく見ていたい」。運命を共にしたくないけど、その行く末を見ていたい、という気持ちです…。


[おしい・まもる / 映画プロデューサー]

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