3月12日 師勝町「わたやさんときつね」 Last Updated 12/MAR/2005 雨がしとしと降り、ひんやりと冷たくてまだ季節は冬を感じさせる今日の朝。 朝7:00に西春の駅に集合して、まず向かうのは、名古屋のちょうど北部に位置する、師勝町と呼ばれる町です。 今回の制作会場となったのは、町の中にある師勝小学校の中です。 小学校の中に入ったのはすごく久しぶりで、なんだかなつかしさに少しひたってしまいました。 お手洗いがとても小さくて感動したり、音楽室のベートーベンを見て、目が光ってないかと心配してみたりしました。 さて、今回子供たちと制作していくストーリオブジェである「わたやさんときつね」とはこんなお話です。 昔、むかし、年越しも間近のある午後のこと。その日はひといちばんの寒い日でした。 そんな村に住むねぎさんというおじいさんの所に、綿屋さんが代金を払ってほしいとやってきました。 けれども、ねぎさんはこの綿の代金にまったく覚えがありません。 ねぎさんはそのことを綿屋さんに言うのだけれども、綿屋さんは「確かに昨夜、この村のねぎさんの男衆と名乗られる方がやってきて、綿を買ってかれました。これがその証文です。」と言って、一枚の紙切れを差し出しました。 これには、ねぎさんもびっくり。「なんだかきつねにつままれたようだよ・・・」と不思議で仕方ありません。 困り果てたねぎさんと綿屋さん。そうこうしているうちに、ねぎさんはふと思いついたことがありました。 それは、この町の近くにある、オジロの森というきつねがたくさん住んでいる森のことです。 (オジロの森とは、白い尾をしたやさしく・いたずらのしないきつねがたくさん住んでいる森のことです。) 綿屋さんとねぎさんは早速、オジロの森へと足を運びます。 するとそこには大きな穴がひとつありました。 二人が覗き込んだその穴の奥には、綿がいっぱい積んであり、そのふわふわの綿の上には、生まれたばかりの子ぎつねたちがすやすやと眠っているではないでしょうか。 これには、ねぎさんも綿屋さん目を丸くして驚きました。 あの綿は、可愛い子ぎつね達が風邪をひかないようにと、親ぎつねが人間に化けて運んだ綿なのでした。 それは、動物も人間も変らない、我が子を思う親のあたたかい愛情なのでした。 このきつねたちを見て、ねぎさんと綿屋さんはとってもあったかい気持ちでいっぱいになり、きつねたちを起こさないようにそっと帰っていったのだそうです。 この物語にちなんで、今回のワークショップでは「綿と染色した布」を使い、「母ぎつねにあたたかく包まれた子ぎつね達」を作ります。 環境に・地球に優しいようにするために、布はタマネギの皮できつねのキレイなやまぶき色に染め、綿も手芸用の化学繊維のものではなくて、天然綿から採れたものを使いました。 子供達は綿を手に取り、くるくる丸めて黄色の布に包んで、子ぎつねを作っていきました。 一人一人、入れる綿の量やひげのかたちが違うだけで、いろんなきつねができあがりました。 ひげをぐるぐるにしたオジサンきつね、綿をぱんぱんにしたオデブきつねなど、子供達はオリジナルののきつね作りを一生懸命にやっていました。 気づいたらたくさんのきつねができていて、子供達の顔は幸せな笑顔いっぱいになっていました。 |