MERRY MEMBER



Profile
Saitou Toshie
サイトウトシエ
誕生日:'84年2月22日
出身地:千葉県
学校:文化女子大学服装学部服装造形学科
夢:世界中を旅する、ライブハウスと服屋さんをひらく、ファッションジャーナリスト、衣裳職人
イベント:
ロックミシン企画
Pinky's Knightメインスタッフ
愛好:アイスクリーム、プリン、大福、 ミニーちゃん、フルート
恐怖症:たまねぎ、怖い話、鳥の毛羽立ち
ウィーン・モロッコ・スペインツアー(1) Last Updated 2004.05.10

春休み始まってそろそろ折り返し地点、遅れに遅れた課題のスーツがやっと仕上がって2日後、ギリギリのところであたしは無事一人旅に出発しました。20歳になってから初の海外旅です。わーい!保護者の同意書なしで手続きができるなんて楽ちん。成人ほやほやの旅は題して「二十歳の乗り物酔い克服1人ツアー」です。そのタイトル通り、あたしは乗り物が苦手なんです。ほぼあらゆる乗り物に体が拒否反応を示すのです。幼い頃から父の運転する車に乗るたびに「お母さん窓開けてぇ〜」と青い顔をしてました。楽しい楽しいはずのバス旅行で1人ぐたっとしてる子でした。毎日学校まで通うのは並大抵の事じゃありません。九十九里浜から新宿まで要する時間は週に30時間近く。そのうちの何時間を電車酔いと戦っていることか。「十代最後の青春18切符の旅」後かなり改善したのだけど、大人への道はまだまだ遠い。

さぁて、成田空港の匂い、わくわく倍増、出発です。航空券の訪問可能都市3カ国をフル活用。1つ目の都市は、オーストリア航空の経由地ウィーンです。音楽の都、芸術の街。ヨーロッパの町並みの至る所にアートが混在し、お花屋さんの角から聞こえるオペラ、お菓子屋さんの向こうから聞こえる天使の歌声、オープンカフェでおしゃべりする恋人たちはなんてお洒落なんだろう、と想像は過剰にふくらみます。 眠って眠って十数時間後、飛行機は真っ白な地に降り立ちました。雪!寒い!息が白い!そんなはずじゃなかった。3月がこんなに寒いなんて思いもしなかった。朝方にぼーっと詰めた荷物だけど、防寒服も持ってきててよかった。見渡す限りアルファベット。読めない。ここはドイツ語圏なんだと実感。ベルトコンベアのとこで出会った日本人の姉妹と一緒に地下鉄のホームへ。乗り物ってその国その土地のシステムや常識や色んな物が見える。ここではホームに券売機があるの。選べるドイツ語と英語とイタリア語、フランス語英語表示、いくら眺めてもどれも読めやしません。ペラペラのお姉さんに切符の買い方を教わりました。そういや日本のは何カ国語表記になってるっけ。英語は見たことあるけど、他のアジアの言語はなかった気がするな。西洋コンプレックス大国の日本だけど、それ以上に英語ってなんて強い言語なんだろう。

ちゃっかり助けを借りて順調に地下鉄もクリアし,階段を昇って地上に出ると、目の前にドカーンっとゴシック建築の教会が立ちはだかっていました。シュテファン寺院というウィーンのシンボルで、よく見ると教会本堂はロマネスク様式。山手線の真ん中に奈良の大仏がどっしり腰を下ろしているような感じ、なのか?? デカいリュックに背負った小っちゃなあたし、目の前のドッカーン。何度見ても圧倒されます。薄暗くなり始めたウィーンの街を散策開始。予想してたより小綺麗。ケルントナー通りの明かりがだんだんキラキラしてきました。もう閉まった店のショーウィンドウに飾られた靴を指さす女の子と微笑む両親。そんな暖かい光景を胸にしまって、凍えそうな夜道をホテルへ向かいました。よく「1人旅って恐くないの?凄いね。強いね。」っと言われますけど,恐いですよ。出発前は不安いっぱいだし,とてつもなく小心なので暗くなったら外にいたくない。夜は我が家の母屋と離れを行き来するのさえ嫌だもん。だけど旅だと怖さよりわくわく好奇心が勝つのかな。ヨーロッパは雨月物語みたいな恐ろしいお化け出てこなそうだし。キャスパーとかハリーポッターに出てくる肖像画とか。それに心構え,集団より1人でいる方が安全。でも男の子と一緒だったら気も楽だなぁ。

翌朝、昨夜つもった雪で街は絵に描いたような冬のヨーロッパ。まだ慣れない地下鉄に乗ってシェーンブルン宮殿へ。これまたデカい!宮殿内部は息を呑むような豪華絢爛で、ヴェルサイユに負けない色んな種類のシャンデリアにわくわくうっとりでした。クラークのおじさん「きみは日本から来たんだね。アリガトウ!コンニチハ。」っとすてきな笑顔でした。

ウィーン市内のミュージアムは日曜日は入場無料なんです。ここぞとばかりに巡ってきました。念願のグスタフ・クリムト巡り。分離派会館の巨大壁画や有名なThe Kissはいつまでも眺めていたいほど。ウィーンに来てほんとによかった。

とにかく物価の高いウィーン、教会の塔を利用した6ユーロで泊まれるユースホステルの情報を仕入れて、はるばるドナウ川近くまでやってきました。っと嫌な予感のする張り紙が、明後日まで休館です、と。あらあらあら、ガイドブック持ってないから他に当てもなく大きな駅のインフォメーションにとぼとぼ戻る。フリフリブラウスの可愛いおばちゃんは眼鏡の縁の上から裸眼であたしを見下ろし、「ここではユースホステルの紹介はできないわ。地図もないわ。」って。仕方なく一番安いペンションを予約しました。アルテミン&キューネのチョコレートを買うために節約し続けてたのに、大きな誤算でした。でもチョコは買うぞ!

白い壁と白い天井、雪かきの音に目を覚ましました。今日はより一層歩け歩け大会です。西駅でリュックを預け、表参道みたいなマリアルファー通りを早足お散歩。小雪がぱらつく。すれ違うウィーンの女の子、日本の子たちとは違うお洒落センスには何度も釘付けでした。しばらく歩くと見えてきた見えてきた、王宮です。ここ一帯の建物はこれまたデカくて、朝靄みたいのかかってる所為かまるで幻覚を見ているかのよう。門を抜けると朝っぱらから王宮庭園をジョギングするウィーンのおじさん、天使のようなおめめとほっぺの赤ちゃん乗せたベビーカー押すウィーン母さん、雪合戦するちびっこウィーンっこたち。皇居のお庭ではこんな光景ありえないよね。お目当ての王宮宝物館はほんとに凄かった!夢のような、というか信じられないくらいゴロゴロ!きらんきらんの宝物たち。ハプスブルク家の財力、支配力がうかがえるどころか想像絶するわけわかんない金持ちだ!世界史の授業もう一度受けたい。そして今日も芸術の街三昧です。ミュージアム・クォーターは美術館や博物館がいっぱい集まった複合美術地区で、あたしはまたグスタフ・クリムトを追っかけてレオポルド・ミュージアムに入りました。ここはかなりお薦めです。何時間居ただろう。何時間でも居られそうでした。次回ウィーンに来たら残りの美術館みんな堪能するわ!もっと時間をかけて。